昔の教科書 2008 7 5

 昔の教科書には、金利を引き下げれば、
「株価は上昇し、景気はよくなる」と書いてあったでしょう。
 しかし、現代において、こんなことをすると、大変なことになります。
昔だったら株価に向かうはずの「過剰流動性(金余り)」が、
原油相場や商品相場を高騰させ、世界経済を不安定にしてしまいます。
 つまり、マネーに国境がない現代においては、
自国で「過剰流動性効果」が発生しなくても、思わぬ国でバブルが発生してしまいます。
 「経済的な鎖国」をしていれば、
「金利を引き下げると、素直に、株価は上昇し、景気はよくなる」となったでしょう。
 しかし、現代において、先進国で、「経済的な鎖国」を実施している国はないでしょう。
近年は、金融自由化が時代の主流でした。
つまり、「マネーに国境がない時代」になったのです。
 そんな状況で、
「金利を引き下げれば、株価は上昇し、景気はよくなる」は、取らぬ狸の皮算用でしょう。
 もちろん、金融危機が発生した場合は、緊急に金利引下げは必要でしょう。
しかし、これは、あくまでも緊急で一時的な政策です。
 昔、こんな話を聞いたことがあります。
「若い時に覚えた安酒は、金持ちとなった今でも忘れられない」
 これは、学問でも同じです。
時代が変わったのに、昔、学んだ学問にしがみついていることを象徴しています。

誰のための政策か
 昔だったら、「超」低金利政策などの「金融緩和政策」を行えば、
景気浮揚、あるいは「バブル景気に近い状態」になったかもしれません。
 しかし、これは、「昔」の教科書に書いてある政策です。
マネーに国境のない現代において、こうした政策を行うと、どうなるか。
 日本国内に資金需要がなければ、「膨張したマネー」は外国に向かいます。
つまり、日本国内は「変化なし」で、外国の「ある国」は、バブル景気に近い状態となります。
 もちろん、外国の「ある国」が、日本製品を大量に購入すれば、
「輸出ができる日本企業」は、景気回復となるでしょう。
 しかし、「輸出ができない企業」は、どうなのか。
貯金民族と言われる日本人(庶民)の景気は、どうなのか。
 誰のための政策なのか。


















































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